10/29partU ドルフェールさんのお店でパン焼き体験
最後の日程になりましたが、今回の旅行一番の目的の「パン焼き体験」です。フランス最高技能者の称号「MOF」を持つジョセフ・ドルフェールさん親子にパン焼きについてこれから半日手解きを受けます。 ここまでは観光でわいわいと楽しくやってきた私達ですが、バスに乗り込んだ面々は心地よい緊張感と喜びに満ちた表情をしています。
やがてバスは出発する頃から降り出した小雨の中、ストラスブルグから30分ほどの場所にあるBischwiller(ビシュウィラー)のドルフェールさんのお店に到着しました。 雨の中にも拘らずバスの外にドルフェールさんが迎えに出てくれています。世界ウルルン滞在記(2003年2/16放映)で見たのと全く同じ温厚そうな笑顔、夢のような気持ちです。そしてバスを降りた私たち一人一人に「Bonjour」と言いながら握手で出迎えてくださいました。あの大きくて温かい手の感触は一生忘れないでしょう。
※MOFはフランス最高技能者のことで、厳しい国家試験で認定される制度です。
フランスにいる20万人のパン職人の中でMOFを取得しているのは50人。
その中で現役のパン屋は5人。MOF取得者のほとんどは後継者を育てるために
現役を退いています。ジョセフさんと息子のリシャールさんは親子でMOFを持つ
現役のパン職人。日本で言えば人間国宝や無形文化財に当たるほど栄誉のある
称号の所持者です。
お店の2階に上がり、ドルフェールさんから温かい歓迎のあいさつを受けて、心を込めて用意してくださったランチをご馳走になります。
「ようこそ!私の用意したランチを楽しんでください。」とドルフェール氏
フランス最高のパンが・・・
味も量もちょうどいい加減。日本人向きに用意してくださったのかも?
アルザスのビール
癖が無く美味しい
デザートはアルザスのクウェッチ
(プルーンの原型の果物)を使った
タルト、パンプディング風?
ランチは種類も多く、とってもデリシャス!そして、何故かストラスブールのレストランには無かったアルザスビールも用意されています。これから真剣に勉強なのですが、この誘惑には勝てませんでした。
ここでの食事はサンドイッチくらいかと思っていましたが、これぞアルザスの食事と思えるご馳走を用意してくださったドルフェールさんに感謝!
昼食後、この旅行のメインイベントのドルフェールさん親子による「パン焼き講習」が始まります。
私たちはエプロンとバンダナなどを各自用意していましたが、ドルフェールさんが全員に使い捨てですがエプロンと帽子を準備してくださっていました。白いエプロンと帽子を身に着けて、もうすっかり職人気分になって、いざ講習の開始です。
ジョセフさんの説明に息子のリシャールさんが見事な手さばきで実演を見せてくださいます。途中、私たちが実際にパン生地に触る時には2班に分かれて実技をします。 本日の通訳さんは2名。それぞれの班に一人ずつ付き、通訳と言うよりパン作りの工程を伝える役目です。 一人は今回のパン焼き講習のコーディネートをしてくださった石川さんと言われる女性です。彼女は日本でパン屋さんをしていましたが、フランスに渡りパンの勉強をした後、日本からパンの勉強に来たり、パンやさん巡りの旅をする人のためのコーディネーターをされています。 もう一人は男性の通訳さん。やはり日本人でパン職人を目指して渡仏しましたが、今は私たちのようなパン目的の旅行者の通訳をお仕事にされています。今回のような講習の場合、パン作りに精通している方で無いと上手に技術を伝えることができません。
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とても熱く、そして分かりやすく
工程を説明してくれます。
ジョセフさんの説明に熱心にメモを
取ったり、手元を覗きこんだり、とに
かく真剣です。
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黙々と作業を進めるリシャール
さん。
私も説明を聞いて、メモを取り写真
撮影もします。大勢の人の肩越しに
片手で撮ったものもあり、何時もより
さらに画像が乱れてしまいました。(T_T)
教えていただくパンは5種類、実際に私たちが生地に触れて実習するのは2種類で、アルザス名物の「Kougerhopf」と「Pain tradition francaise」です。Pain tradition francaise というのは日本ではただフランスパンと呼ばれるあのパンのことで、今回のはその中でもバゲットと呼ばれるものです。 フランスではあのパンのことを「伝統的なフランスパン」と呼んでいるのです。 実は私、その事実は今回学びました。でも納得ですよね〜!^^
Kougelhopf Alsacian
(アルザス風クグロフ)
5種類のパンが次々と発酵して、
ふっくらと膨れました♪
Pain tradition francaise
(伝統的なフランスパン)
le pain a la biere
(ビールパン)
pain de seigle 60%
(ライ麦60%パン)
brioche au fromage blenc
(フロマージュブランのブリオッシュ)
パンが発酵して次はオーブンで焼く工程に入ります。バゲットは自分で成形したものにクープ(切り目)を入れます。フランスパンには決まりがあり、バゲットは生地の重さが350g、長さが65cm、クープは6本、と決まっています。ジョセフさんが「ル〜ル♪ル〜ル♪ル〜♪」とリズムをつけてクープ入れをするように指導して下さったので、私も歌いはしませんがリズムをつけてやってみたら、クープが7本入ってしまいました。「トレビア〜ン、トレビア〜ン、でも7本ですね。」と笑いながらの批評。「う〜ん、6本入るリズムを勉強しなくては・・・」と心の中で苦笑した私です。
パンの窯入れ
リシャールさんとお子さん
パンが焼きあがる頃、リシャールさんの奥さんとお子さんがやって来ました。今まで黙々とパン作りをしていたリシャールさんの顔がほころびます。ジョセフさんもこの時ばかりはおじいちゃんの顔に・・・ リシャールさんにそっくりな坊や、この厨房が大好きだそうです。「かわいい〜!」と言う声とともに「将来のMOFは間違いないかな〜?」とあちこちで声が上がりました。
パン講習の締めくくりは、焼きあがったバゲットパンを一つ一つ気持ちを込めての批評です。
「これはクープの開きがもう少し。」とか「トレビア〜ン♪」などと・・・聞くほうも目が真剣!
パン作り終了後、全員で出来上がったパンの前で記念撮影。コーディネイトさん、通訳さん、TCさんがみんなのデジカメを集めて、「はい、チーズ!」の繰り返しです。^^ そして、先ほどから見知らぬ方がプロ用のカメラを持ってスタンバイしていたかと思うと、今度はその方が撮影を始めます。「あれ?これは?」と思っていると、誰かが「地元新聞の記者で、私たちのことが新聞に載るらしい」と言っています。 私たちにとって感動的な出来事は反対に地元紙に載るようなことだったのです。 新聞に取り上げてもらったと言うことより、ドルフェールさんが私たちをそんなに歓迎していてくれたと言うことが、もう一つおまけの喜びでした。
さあ、これでパンの講習がすべて終わりました。ジョセフさんとリシャールさんとのお別れのひと時を2階のカフェで過ごし、その時に私たちは思いも寄らぬプレゼントをいただきました。ドルフェールさん親子が作ってくださった「DIPLOME」講習の終了証です。
家に帰って額にいれ、何時も私がパンを作っているダイニングの壁に掛けています。これは私の大切な宝物になりました。
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6時間ほどの体験でしたが、ドルフェールさんの大きくて温かい心に触れ、世界でも指折りのおいしいパン作りをこの目で見て、この手で触れさせていただいて、パン作りを愛するものにとってこの上もないすばらしい時間を過ごさせていただきました。フランス最高技能者MOFは最高のお人柄でした。パンの技術は言うまでもありませんが、この日参加した25名全員がジョセフさんの素敵なお人柄に触れたことを一生の宝物にしたに違いありません。